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2008.07.13

ゼスト御池店から おすすめの時代小説『のぼうの城』

みなさんこんにちは。今日は気温が35℃に達したそうです。夏バテしてませんか?体調にはご注意ください。

と言っておきながら先日夏風邪をひいてダウンしたばかりの当店文芸担当が自信をもっておすすめするのがこちらの本です。

和田竜『のぼうの城』(小学館,1,575円)
のぼう様


オノ・ナツメさん表紙のこの本をご存じの方も多いのでは?そう,明後日発表される直木賞のノミネート作になっている本です。

時は戦国時代も後期,織田信長が本能寺の変で倒れて幾久しく,代わって豊臣秀吉がその勢力を全国に広めていた時代でした。秀吉は天下統一への最後の壁,関東は北条氏を攻めんとしています。

秀吉は部下の武将・石田三成に北条氏の支城・忍城(おしじょう)攻めを命じます。

歴史に詳しい方はご存じかと思いますが,石田三成はその頭脳を買われた人です。近江で小坊主をしていた時,秀吉に出した3杯のお茶の話(「三献茶」)が有名で,1杯目は喉の渇きを取るためぬるい茶を多めに出し,2杯目はちょっと熱めにした茶を少なくして出し,3杯目は熱い茶を少しだけ出して秀吉にその才能を認められました。

そうして少年の頃より秀吉の信頼厚い三成のこと,ここは派手に戦に勝って大将を喜ばせたい。彼は意気込んで忍城攻めに臨みます。

一方,忍城周辺は北条氏に従う成田氏という一族が統治していました。成田氏は当主・氏長の下に様々な武将がいます。
まずは筆頭家老である正木丹波守。彼は「武」の人で,家内一の武辺者に与えられる「皆朱の槍」を持っています。
次は同じく家老の一人,柴崎和泉守。この人も武勇で知られた人で,その巨大な体で気性も荒い,まさに猛将。戦場では鬼と化します。
3人目は若手家老である酒巻靭負。彼は戦の経験こそないものの,兵法書によく通じた達人です。

そうした個性的な武将の中でも特に異彩を放っているのが本作の主人公,「のぼう様」こと成田長親です。彼は背が高く大きな体をしているのですが,体格がよいというわけではなく,顔の表情も極端に乏しく,絶えずへらへらしているように見えるそうです。
彼は農作業を好み,よく農民のもとへ行き手伝いに行くのですが,不器用なためにどうも農民の迷惑になるばかり。武将でありながら彼らからも馬鹿にされる始末。まさにでくのぼう=「のぼう様」。

さて,なんでこんなダメな人が主人公なのか?そして,成田家は迫り来る石田三成の2万の軍勢とどう渡り合っていくのか?ここから先は本を読んでのお楽しみです。


ここからは私の感想になるのですが,いや…こんなに夢中になって時代小説を読んだのは初めてです。次のページをめくるのが楽しみで楽しみで,紙が汗でふにゃふにゃになり,後半はずっと鳥肌が立ちっぱなしで,胸が熱くなりました。美しい男のロマンとはまさにこのこと。

今年読んだ本でこんなにカタルシスを感じられる本があったでしょうか?まだ残り5ヶ月ありますが,私はこの本を「2008年この一冊!」として強く推薦します。ぜひぜひ読んでください!

明後日は直木賞発表ですが,さてさてどうなりますことか。

※なお,こちらは人気商品のため在庫が少なくなっております。在庫切れの場合は何卒ご了承くださいませ。


こうした男たちの熱いロマンを感じる時代ものが読みたいというあなたには,コミックですが隆慶一郎・原哲夫『花の慶次―雲のかなたに』をお薦めします。こちらもいいですよ!文庫版・完全版と出ております。
花の慶次


(文芸担当)

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